2017年05月15日

松山のペナルティ


 プレーヤーズ選手権で松山がペナルティを課せられた。


 ボールがラテラルウォーターハザードに入った場合、幾つかの選択肢があるんだけど、今回彼が選んだのは、

 最後に境界線を越えた場所から2クラブレングス以内(でホールに近づかない場所)にドロップ

 だった。彼は(おそらく、だけど)最後に横切った場所と2クラブレングスの場所にティペグを刺し、その間にドロップ。そのボールが刺した2本のティペグの外に転がった(2回とも?)のを受け、「2クラブ以上転がったもの」と判断し、ボールをピックアップして2度めのドロップの位置へプレースした。

 しかし、ドロップした球が「2クラブレングス以上転がった」かどうかの判断は「ドロップ箇所(最初にボールが地面に接した場所)」から測っての話であり、最初に刺した2本のティは全く関係ない(ドロップする範囲を示しているだけ)。

 これを同伴競技者のグレアム・マクドゥエルが指摘し、インプレーの球を拾い上げたとして1ペナ。



 まあルールがややこしすぎる(救済の方法が複数ある、ワンクラブレングスとツークラブレングス、ドロップする範囲とボールが転がる範囲の違い)というのもあるけど、ドロップした場所から2クラブ転がる、というのはよくある状況だから、「ルールを知らなかった」「(きちんと)聞いたことがない」「それをやってる人もあまりいなくて・・・」(すべて松山談)っていうのはプロとしてどうよ、と思うんだけど。

 あれ、ということは、松山はそれまでずっと「ドロップ範囲を示す2本のティペグ」を越えたら「2クラブ以上転がったと判断」してたってことだよね。それはちょっと酷くないか。



 ただし、こういう事って、松山に限らず多くのプロに当てはまることなんじゃないかなと思うんだよね。プロゴルファーならルールについて精通していて当たり前、というイメージがあるけど、プロの試合ではややこしそうなら競技委員を呼び、その指示に従えばいいので自分で覚えなくても何とかなってしまう。

 あと、TVに映るような上位選手、有名選手ならともかく、優勝に絡まない無名の選手でギャラリーがほとんどいなかったら、試合でも結構適当に処理してるんじゃないだろうか(見たわけじゃないけど、可能性は高いと思う)。もちろん人によると思うけど。



 もちろん私も人のミスをしたり顔で指摘できるほどルールに精通してるわけじゃない(いや指摘してるやん)けど。少なくともルールブックを持ち、迷ったときや困ったときに紐解く癖をつけておくとだいぶ違うと思うんだけどね。

 っていうか、ルールを知らないと自分が損をするわけだから、自分のために知っとこうぜって話。
posted by hiro at 19:00| Comment(0) | 規則(ルール)

2017年04月05日

誤所からのプレー


 アメリカ女子ツアーのメジャー第一戦、ANAインスピレーション(数年前まで「クラフト・ナビスコ選手権」という名前だった)で起こった事件について、色々と言われている。

 事件の概要はこう。3日目、トップに立っていたレキシー・トンプソン(アメリカ)の17番。カップまで50cmぐらいの位置に止まったボールにマークをしたのだが、ボールのすぐ後ろではなく数センチ横にコインを置いてマーク。そしてボールをピックアップしてすぐ、コインの真ん前、つまり元の位置より数センチ移動させて置いた。横に移動した距離はボール半個〜1個ぶん。

マークする前

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 リプレース直後。右足つま先との位置関係から、ボールが微妙に画面右奥に移動していることが分かる。

image4411.jpg


 で、この行為が、TV視聴者の指摘により「誤所からのプレー」と裁定され、最終日プレー中のレキシーは誤所からのプレーの2打+過少申告の2打、合計4打のペナルティを科せられた。

 首位から陥落したレキシーは動揺するも裁定を受け入れ、泣きながらプレーを続行。そしてそんな中でもスコアを伸ばし、最終的には首位タイでフィニッシュ。プレーオフでは敗れたものの、その姿勢に賞賛や感動の声が上がっている。

 ・・・というのが顛末なんだけど。なかなか面白い事件だ。面白いって言ったらレキシーに悪いけど。


 視聴者による指摘でペナルティが付くのはフェアじゃない →わかる

 理由はともあれ、アクシデントにもめげすよく首位タイまで頑張った →わかる

 こういう事があるから、後から裁定が覆らないようにルール改正しなきゃね →わかる



 でも、誰も聞かないよね、本人に。

 何で、あんな不自然で変則的なマークの置き方したの?って。



 「理由はともあれ罰を受けた。だから故意であろうが過失であろうがこの話はもうおしまい。それより、そういうことになったしまったシステムを見直そう」というのがいかにも欧米的合理主義、っつーかキリスト教的(絶対的存在がいて、その人の言うことは理屈抜きで正しい)世界観?なのかなあ。

 でも、結果よりも過程を大事にする日本人である私としては、どうしても腑に落ちない。だって、こんな短いパットで、ボールに引かれたラインを合わせるわけでもないのに、コイン1個分ぐらい横にマークして、すぐ置き直すという行為に論理的な説明がつかないんだよね、

 恣意的にしたと考えるしか。

 つまり自分が有利になるよう、スパイクマークか何かを避けるためにそんな置き方したんじゃないの?と勘ぐられても仕方ないのではないかと。

 仮に、性善説の立場で、「何も考えずついうっかり」してしまったとしても、李下に冠を正さず、常日頃から気をつけていればこういう不注意はほぼ防げると思うんだけど。
 

 断っておくが、レキシー・トンプソンが嫌いだとか、彼女を糾弾すべきだとか、ルールはいつ何時でも厳密に裁定されなければいけない!なんて思っているわけではない。


 でも、擁護派があまりにも多いので、あえて反対意見を書いてみた。っていうか、自分も気をつけようと思った。
posted by hiro at 20:00| Comment(0) | 規則(ルール)

2017年03月06日

2019年ゴルフ規則改正

 2年後の2019年、ゴルフ規則が大幅に改正されるらしい。


 ゴルフの規則は原則オリンピックイヤーに大改正されてきたが、リオオリンピックのあった去年つまり2016年にはそれほど大きな改正がなく(規則18-2、止まっている球が動かされる が一番大きな改正だった)、また2017年はルールブックの今年度版が発行されないなど、イレギュラーな状態が続いている。

 さらに、ゴルフがオリンピックの正式競技に復活。複雑なルールをできるだけシンプルにして、ゴルフの底辺をさらに広げていこうという機運が熟してきた。

 というわけで、R&AとUSGAが「ルールの近代化」と称し、改正案を幾つか出している。もうすぐ日本語版が出てくると思うので、正式にはその文章を読んでいただきたいが、大雑把に書くと以下の通り。英語訳が間違ってたらご容赦を。


 あ、断っておくがこれはすべて「案」で、全部採用されるわけではないのでお間違えなく。


 ボールが動く、動かされる系

 ・自分のボールを捜索中、誤って動かしても無罰

 ・グリーン上でボールやボールマークを誤って動かしても無罰

 ・自分が打った球が自分の体などに当たったときのペナルティをなくす

 ・ジェネラルエリア(スルーザグリーンに代わる新しい言葉)でボールが地面などに埋まった時、救済を受けられる(現在は原則、フェアウェイでないと救済が受けられない)

 ・その他、ボールが動いたり動かした時のルールの簡略化



 ドロップなど

 ・ドロップを肩の位置からでなく、地面に近い位置からに変更

 ・障害物からのニアレストポイントやドロップ位置の簡略化

 ・ウォーターハザードに入った時の処置の簡略化



 グリーン上にて

 ・グリーン上で、ピンフラッグが刺さったままパットしても良い(当たっても無罰)

 ・グリーン上のスパイクマークなどの修復が可能になる



 ペナルティエリア

 ・ウォーターハザードを「ペナルティエリア」とし、ブッシュや岩石地帯などを含めた総称にする

 ・ウォーターハザードの「対岸でのドロップ」を廃止

 ・ペナルティエリア内のルースインペディメントに触れても無罰



 バンカー

 ・ルースインペディメントに触れても無罰

 ・バンカー内で手やクラブが砂に触れても無罰

 ・バンカー内のボールをアンプレアブルとしてバンカー外にドロップすることを可能にする(罰打あり)



 その他

 ・傷ついたボールをプレー中いつでも?(ちょっと自信なし)取り替えることが可能

 ・距離計測機器を原則使用可能に

 ・キャディが後方に立って方向を確認することを禁止



 プレーについて

 ・遠球先打ではなく、用意ができた人からプレー可能(レディゴルフ)にする

 ・ストロークプレーにおいて「最大打数(ダブルパーあるいはトリプルボギー)」を決め、それを超える打数の場合はピックアップして良いとする(当然スコアは最大打数で打ち切り)

 ・同伴競技者への確認なしで、ボールを確認したり触ったりピックアップできるようにする

 ・ボールの捜索時間を5分から3分に短縮




 相当な大改正である。全体的に言えることは、とにかく「ゴルフの常識、世間の非常識」という部分の排除。つまりゴルフというスポーツのハードルを下げるという点に尽きる。

 例えば「ニアレストポイント」という概念1つとっても、正しく理解できていないゴルファーが圧倒的に多いという現状に対し、「じゃあもう易しくするからきちんと覚えてね」という姿勢は、あの頭の固いR&AとUSGAにすれば相当譲歩してきてるよね。

 でも振り返って考えてみれば、「自分に有利に振る舞わない」という原則があまりに正義すぎて、形骸化してるルールもたくさんあるよね。例えば、

 打った球が自分に当たったら1ペナ。いや、当てようと思って当てる人いないだろうと。

 バンカー内の枯れ葉や小石を拾ったら2ペナ。なんで?

 バンカー内で肩の高さからドロップしたら、ほぼ目玉になるよね。それって不公平じゃね?

 赤杭と黄杭で処置の仕方が違う。しかも4通りも5通りもある。初心者が覚えられるわけがない。

 歩測での距離計測より機械使ったほうがよっぽどプレーは速い。

 打つ用意ができてるのに、自分より遠い人が打つのを延々と待たなきゃいけない。合理的じゃないね。

 他人のスパイクマークで自分のパットが外れる理不尽さ。


 言い出せばキリがない。思うに、ゴルファーは「ルール」をあまりに神格化し、聖典のように大事にしすぎていたのではないだろうか(いや、ルールブック見たことないという強者もいるけど)。



 いや、たしかにルールは大事だ。ルールを守ってきたからこそ、そして「自分に有利に振る舞わない」という大原則があるからこそ、ゴルフは「キング・オブ・ゲーム」(←適当に今考えた)として何百年も人をひきつけてきたのだから。

 この改正でその根本精神が崩れることはないと思う。キャディが後方に立って方向を確認することを禁止するなんていう改正案もあるしね。ズルするやつはどんなルールの下でもズルするし、そういうヤツにはバチが当たるようになってるのがゴルフだから。


 とにかく2年後が楽しみ。
posted by hiro at 19:05| Comment(0) | 規則(ルール)