2018年09月12日

ゴルフ本レビュー:「成功する人は頑張らない」


 今日はこれについて。

プロゴルファーが順天堂大学院で学んだ「成功する人は頑張らない」

 横田真一著。題長いな。

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 4スタンスは卒業?ついに最高学府でアカデミックな研究をすることになった横田真一氏。巻末には研究論文も載せられているので本格的だ(論文の責任者である第一著者ではなさそうだけど)。

 この本の主題は「自律神経」。自律神経とアスリートのパフォーマンスについて大変わかりやすく書かれている。



 生き物の体には隅々まで神経が張り巡らされているが、わかりやすく書くと、神経には大きく分けで3種類ある。体を動かす運動神経、触覚や痛覚などを脳に伝える感覚神経、そして自律神経だ。

 運動神経や感覚神経は自分の意志でコントロールできる神経だ。運動神経はもちろんのこと、感覚神経もある程度は調整できる。(感覚を研ぎ澄ます、耳をそばだてるという言い回しがあるように)。

 しかし、自律神経は生き物の全身の動きや働きを調整してくれる神経だが、基本的にはフルオートマチックに働くものである。例えば暑い時に汗をかく、びっくりした時に体を硬直させる、ご飯を食べると胃腸が動き出す、これらの「勝手に動いて、体をその時の状況にあったいい状態にキープしてくれる」のが自律神経の働きなのである。

 そのコントロールだが、自律神経そのものに2系統の神経が存在し、よりハイパーな状態に持っていく「交感神経」と、体を鎮めようとする「副交感神経」の2つが存在する。よく「アクセルとブレーキ」に例えられるよね。



 というふうに大変うまくできている自律神経だが、悲しいことにフルオートなので融通が利かない。例えば大きな試合やコンペの朝一番のティショット。すごく緊張した時、頭に血が上り、がくがくと震え、冷静でいられない感じになる。これは交感神経が過度に働いている状態。いわゆる「アガる」というやつだね。

 逆に、ハーフが終わり、お昼の休憩を済まして午後の10番ティに立った時、何となく体がだるいような、切れがないような、平和な気持ちになって闘争心がわかない感じになることがある。これはまさしく副交感神経が優位に働いている状態で、リラックスはできても高いパフォーマンスは発揮しにくい。

 
 で、この本は、その「普通ならコントロールできない」自律神経の働きを「自分の力でコントロール」して、フィジカルとメンタルを最高の状態に持っていく、その仕組や方法が書かれている。もっと簡単に書けば、

自分の意志でゾーンの状態にする事ができる!

 ということだ。超一流のアスリートは多分これを無意識に調整できるか、あるいは努力してコントロールを獲得した人であり、実力はあるのに本番に弱い、あるいは肝心なところでミスをするという人はこのことを知らない人、と言えるかもしれない。

 さらに言えば、「上手いゴルファー」ではなく「強いゴルファー」になれる方法、と言ってもいいかもしれない。



 内容に関しては、何となくモヤモヤと感じていた、あるいは大事そうだけど本当のところはどうなの?という点に関して、「アカデミックな観点から」、多くの「なるほど!」を提供してくれる感じで、なかなかのお薦めである。ライバルたちには絶対に読んでほしくないと思う。

 一例を挙げると、「人間の集中力(ゾーンの状態)は40分ぐらいしか持続しない」という一文がある。ゴルフのプレーは5時間、1.5ラウンドなら7時間以上の時間がかかるが、その全てで最高のパフォーマンスを発揮することは不可能だということだ。これはつまり、意識して「オンとオフを切り替える必要がある」という事と、「その40分をどこに持ってくるか」を戦略として意識しないといけないということを表している。

 そう、本の帯にある、「一流選手が18番でバーディを取れる理由」というのがこれなんだよね。心のスタミナを温存し、ここぞという時にスイッチを入れる。朝一番のティショットから100%で行っていたらすぐガス欠になってしまうのだ。



 あと、この本の良いところは、知識として知っただけで効果がすぐに現れるという点。レッスン書だったらそうはいかない。そういう意味でも、伸び悩むベテランゴルファー、練習場シングル、上がり3ホールで大叩きする人、ここぞというところでミスをする人、バーディを取った次のホールで大叩きする人、感情の起伏が激しい人、練習の時間が取れない人、練習が嫌いな人、まあほとんど私なんだけど、そういう人には良い本だと思う。

 最後に、ゾーンの状態になる方法なんだけど、驚くことにドラゴンボールで孫悟空が初めて超(スーパー)サイヤ人になったときと酷似してるんだよね。鳥山明恐るべし。超サイヤ人は「穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた」という描写があるが、つまりは交感神経と副交感神経が・・・これ以上はネタバレになるので自粛。
posted by hiro at 17:34| Comment(2) | ゴルフ本